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【博多川12橋物語】第4回:中洲新橋(なかすしんばし)

― 不夜城の「裏顔」を覗く、光と影のラビリンス ―

南新橋を過ぎると、川の両岸に迫るビルがいっそう密集し、

独特の熱気が水面にまで漏れ出してくるのを感じます。

 

第4の橋、『中洲新橋』。ここは日本屈指の歓楽街・中洲のちょうど真ん中あたり。

華やかな表通りの喧騒を、背後からそっと支える「舞台裏」のような場所です。

 

■ 迷宮の入り口、水上からの「内緒話」

中洲新橋をくぐる際、ぜひ左右の建物の隙間に目を向けてみてください。

そこには、観光客が歩く大通りからは決して見ることのできない、中洲の「素の表情」が広がっています。

 

びっしりと並んだエアコンの室外機、細い非常階段、

そしてどこかの厨房から漂ってくる美味しそうな香りの混じった風。

どんこ船という隔離された特等席から、巨大な迷宮の裏側をそっと観察する……。

 

そんな少しミステリアスな高揚感が、この橋の下には漂っています。

街の呼吸が、すぐ手の届くところにあるのです。

 

■ 水面に溶ける、極彩色の印象派

中洲新橋の真骨頂は、夕暮れから夜にかけての時間帯に現れます。

 

橋をくぐり抜ける瞬間、頭上のネオンや看板の灯りが一斉に川面へと降り注ぎます。

赤、青、黄色――水面に溶け出した極彩色の光が、船の立てる波紋に揺られて混ざり合い、

まるで印象派の絵画のような幻想的な光景を作り出します。

 

「ここは本当に博多なのだろうか?」 そんな錯覚に陥るほどの光の洪水。

現代の煌めきが、最も「毒気」と「美しさ」を帯びて現れるのが、この中洲新橋の下なのです。

 

■ 船頭の視点から

「この橋の下を通る時、賑やかだったお客様が急に静かになることがあるんです。

ネオンが水面に映って、船が光の中を泳いでいるみたいに見えるからでしょうね。

中洲の『一番いいところ』を独り占めしている気分になれますよ」