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【博多川12橋物語】第3回:南新橋(みなみしんばし)

― 喧騒が溶け出し、情緒が色づく。「中洲」の南門にて ―

清流橋で浴びた潮風がふっと穏やかになり、再び川幅が少しずつ狭まってくると、目の前に現れるのが第3の橋、**『南新橋』**です。

ここは、日本屈指の歓楽街「中洲」の南の入り口。 現代の煌めき(夢回廊橋)から海(清流橋)を経て、船はいよいよ本格的に、博多の「深部」へと時間を巻き戻していきます。

■ 「動」から「静」へのグラデーション

南新橋をくぐる際、ぜひ橋の左右を見渡してみてください。 そこには、川沿いの遊歩道を散歩する人々や、等間隔に並ぶ柳の木々など、のどかな日常の風景が広がっています。しかし、そのすぐ向こう側には、夜を待つ中洲のビル群がそびえ立っています。

都会の喧騒が水面に溶け出し、不思議と優しい静寂へと変わっていく……。南新橋は、そんな「街の熱量」と「水の安らぎ」がちょうど溶け合う、パレットのような場所なのです。

■ 橋の裏側に見る、街の呼吸

どんこ船ならではの低い視点から橋を見上げると、コンクリートの質感や、水の跳ね返りが生む光の模様が手に取るように分かります。 地上を歩いている時には決して聞こえない、橋を渡る車の「ゴトン、ゴトン」という低い振動音。それが水面に響き、どんこ船の「チャプン」という音と重なるとき、私たちは今、まさに街の心臓部の真下を旅しているのだと実感します。

■ 船頭の視点から

「清流橋でスカッとした気分になった後、この南新橋をくぐる頃には、皆さんまたしっとりと落ち着いた表情に戻られますね。ここから先は、少しずつ中洲の『裏顔』が見えてくる。いわば、ミステリーツアーのプロローグみたいな橋ですよ」

賑わいの余韻を背中に感じながら、船はさらなる迷宮へと進みます。 次回は、夜の帳が最も似合う、極彩色の光の入り口――『中洲新橋』へ。