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【博多川12橋物語】第7回:明治橋(めいじばし)

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― ハイカラな風が吹く、路面電車の記憶を乗せて ―

博多橋を過ぎ、川幅が少しずつ広がりを見せる頃、重厚な風格を漂わせる橋が見えてきます。

 

第7の橋、**『明治橋(めいじばし)』**です。

 

ここは、博多の東西を貫くメインストリート「明治通り」の直下。

頭上では絶え間なく車が行き交っていますが、

船の上だけは、かつての明治・大正期のロマンが漂う不思議な空間です。

■ 「文明開化」の響きが残る親柱

明治橋に近づいたら、ぜひ橋の四隅にある**「親柱(おやばしら)」**に注目してください。

 

重厚な石造りの意匠は、まさに近代博多の幕開けを象徴するデザイン。

地上を歩いていると見過ごしてしまいがちなこの細やかな装飾も、

水面に近いどんこ船から見上げると、その圧倒的な存在感に驚かされます。

 

かつて、この橋の上には「路面電車」が走っていました。

ガタゴトと響く電車の音、架線から散る火花、そしてハイカラな服装で橋を渡る人々。

そんな100年前の活気が、この橋の重厚な佇まいの中に今も息づいているかのようです。

■ 都会の「天井」と、水の「ゆとり」

明治橋の下は、博多川の中でも特に天井が低く感じられる場所の一つです。

 

巨大なコンクリートの梁が迫り来るような迫力があり、船頭さんの竿さばきにも緊張感が走ります。

しかし、その圧迫感こそが「都会の真下を旅している」という醍醐味。

 

橋の下を抜けた瞬間に広がる空と、柳の緑。

その明暗のコントラストが、明治橋をくぐり抜ける際の一番の快感です。

 

都会の喧騒を「天井」として眺めながら、自分たちは水の流れに身を任せる。

 

これこそ、どんこ船ならではの贅沢な視点と言えるでしょう。

■ 船頭の視点から

「明治橋のたもとをよく見ると、当時の路面電車の架線を支えていた名残を感じる場所があるんですよ。

 

今は車ばかりですが、船の上で目を閉じると、微かに『チンチン電車』のベルの音が聞こえてくる……

 

そんな気がするほど、ここは歴史の密度が濃い橋ですね」